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──NHKの美術番組やスペシャル番組、浜崎あゆみのミュージックフィルム『月に沈む』の題字、東京ミッドタウン1周年記念ビジュアル、朝日新聞の連載「一語一会」。すべて、紫舟さんが手がけた仕事だが、この足がかりを作ったのはほかでもない、自分自身だ。
「著名なデザイナーの作品が載っている、デザイナーズ年鑑という本を見て、この人の作品素敵だなって思ったところに自分の書を送ったんです。大きな封筒に宛名を書いて送るということを1日ずっとやっていたら、すぐに1000通ぐらいになるんですね。そして、100通に1通ぐらいの割合で徐々にオファーがくるようになって。浜崎あゆみさんのミュージックフィルムのお仕事もその中のひとつでしたね」 |
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──テレビ番組の題字や嬉しいことがあると飲みたくなるお酒。自分の書が、自分の好きな世界で、多くの人の目に触れる仕事がしたい。書家になると決めたときに抱いた夢が叶いつつある中、活動の拠点を神戸から奈良へと移す。
「自分を見つめる作業をしたおかげで、どのタイミングで自分がどこへ行けばいいか。そんなやってきた風や流れがわかるようになりました。神戸にいるときはOL時代の延長というか、暇になったら何かで時間を埋めなきゃいけないと思っていて、とにかく、あくせくしていました。それが、時間がゆっくり流れる奈良へ行くことで、自分に欠けているものや生きるために必要なことを教えてもらうことができた。私にとっては、東京へ来る前に奈良へ行く。それが欠かせないステップだったと思います」 |
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